CBDは美容業界から注目を集める成分です!
HHCH入りの大麻グミと混同されて「とばっちり風評被害を受けて可哀そう」だと不憫に思ったので、まずは「ワンインチ」の「CBDグミ」について販売会社社長(柴田耕佑氏)の声明をご紹介。
【重要なお知らせ】
— 柴田耕佑(CBD社長) |ワンインチ (@oneinch_ceo) November 17, 2023
昨今の「大麻グミ」でメディア等から「ワンインチのグミは大丈夫なのか?」と問い合わせをいただいております。
改めて説明させていただきますが、ワンインチが販売しているグミは味覚糖が製造し、我々が販売しる正式に安全なCBDグミです。…
CBDはHHCHとは完全に別物なので、とばっちりを受けて可哀想。。。(詳しくは後述します!)
まずは「規制されていない」「違法ではない」ものには、「危険性が確認されていないもの(絶対安全とは言い切れないけど今のところ危険ではない+合法)」と「危険だけど法をすり抜けたもの(脱法)」の2種類があるということを理解せねばいけません。
現在のところ、CBDについては重大な副作用は報告されていません。(副作用があったとしてもとても軽いことが報告されています)
今日は、大麻グミ騒動を巻き起こし新たに指定薬物に追加された「HHCH」と絡めて、混同されて悪者にされやすい「CBD」についてまとめてみました。
大麻について
CBDを詳しくご紹介する前に、まずは大麻についてまとめます。
大麻の概要
大麻とは、アサ科の1年草である大麻草とその製品を指し、「大麻取締法」で規制されています。
大麻草は、茎から丈夫な繊維が取れるため、昔から栽培・利用されてきた歴史を持つ伝統的な植物です。農薬・化学肥料を必要とせず、生育環境を選ばないため、世界各国で1年中栽培可能です。大麻草は約90日で育ちますので、大麻草の生産農家では年間3~4回の収穫が行われています(※日本国内の産業用大麻の最大産地は栃木県です)。大麻草は二酸化炭素(CO2)を吸収するとして、環境にやさしいサステナブル(Sustainable:持続可能)な植物としても注目されています。
一方で、大麻は世界で最も乱用されている薬物だとも言われています。大麻は、日本では麻薬の一種として法律で規制されています。(大麻取締法)
大麻についての規制
大麻の規制は国や州などの地域によって異なり、死刑を課す重罪として扱う国もあります。医療用大麻として臨床での使用を認めている国もあれば、嗜好的な利用を認めている国もあります。(タバコのように愛好家がいる国もあります)
日本では、大麻取締法第1条で、「大麻」は「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く」と定義されています。
大麻の栽培、所持、譲受・譲渡等は原則禁止です。
現在、日本では、都道府県知事の免許を受けた大麻取扱者のみが大麻の栽培、所持、譲受・譲渡等を認められています(大麻取扱者以外の者が大麻の栽培、所持、譲受・譲渡等の行為を行った場合は罰せられます)。研究のための使用は大麻研究者(麻薬研究者免許が必要)のみ許されています。
近頃は有名大学の学生が大麻関係のニュースを賑わせています。日本大学では、2020年にラグビー部の部員が、2023年にはアメフト部の部員が大麻を所持していたとして逮捕される不祥事が続いています。アメフト部は廃部が決まりましたね。また、つい最近では、早稲田大学の相撲部部員が大麻取締法違反で逮捕されたばかりです。大麻の若年層の乱用が心配されています。
大麻の規制緩和に向けた動き
海外で使えるのに国内で使えないという「ドラッグラグ」問題の解消に向けて!
ちょうど1ヵ月ほど前、「大麻取締法などの改正案 閣議決定 大麻草が原料の医薬品容認へ」というニュースが流れました。2023年11月14日には、大麻取締法などの改正案が衆議院本会議で可決されました《与党などの賛成多数により衆院通過》。欧米各国では大麻草を原料にした医薬品が承認されている一方で、日本では大麻取締法で規制されていることから、医療関係者や患者から解禁を求める声が出ていた背景があります。治験は既に始まっています。

安全性を問題視する人もいますが、元サッカー日本代表の本田圭佑さん(現在は投資家・実業家)は「大麻が人を傷つけている人数と、車が人を傷つけている人数、一回全部数字を出せって話なんですよ。断然車ですよ」と言っていました。
【動画】本田圭佑さん、大麻について熱弁「大麻と車、人を傷つけている人数一回全部出せって話。断然車ですよ」 https://t.co/HzWptNaAe8
— Share News Japan (@sharenewsjapan1) October 15, 2021
本田圭佑さんの発言に対しては「必需品」である車(※流通業者や地方在住の人にとっては車がないと死活問題!)と「嗜好品」的イメージが根強い大麻を比べた点で厳しい批判もありましたが、インフルエンサーたちも大麻イメージを変えて「ドラッグラグ」問題の解消をするために情報発信で呼びかけを行っています。
なお、改正案はただの規制緩和ではありません。規制を強化した部分もあります。たとえば、大麻が乱用されることを防ぐため、新たに大麻を「麻薬及び向精神薬取締法」で規制する「麻薬」に位置づけ、すでに禁止されている「所持」や「譲渡」などに加え、「使用」を禁止することも盛り込む予定です。
大麻の別名
大麻は、別称として隠語で呼ばれることも多いです。
【俗称】
ハッパ、マリファナ、グラス、チョコ、ガンジャ、ハシッシュ、野菜、ヘンプなど
「大麻草由来だけど法的に許容されている」ものもある
超簡単に言うと、違法成分(THC)を除去していれば国内での使用もOKです。
「医療用大麻」という言葉もあり、疾患治療や苦痛緩和に役立つことを期待されている成分もあります。つまり、大麻成分のすべてが違法というわけではないのが事実です。(使い方次第!といったところでしょうか。もちろん法令順守は必要です!)

身の回りは結構麻の製品で溢れています。身近なところでは、パンのトッピングや七味唐辛子などにも食用の麻の実が入っていたりしますよね。鳥のエサでも使われることが多いです。ロープや衣料(夏物)も麻の繊維で出来いています。麻袋も当然麻製品です。相撲の化粧まわしや神社の注連縄(しめ縄)にも麻が使われています。ちなみに食品や鳥のエサに使われる麻の実は発芽できない様に加工(加熱処理)されています。
CBDは規制対象ではない
「CBD」(カンナビジオール)も大麻由来成分ですが、CBDについては規制の対象外です。CBDは海外では医薬品に使われ、日本国内でもサプリメントなどとして利用が広がっています。(重大な副作用も報告されていないようです)
CBDはスポーツ時のコンディショニング&リカバリー分野で大活躍!
CBDには強いリラックス作用があり、筋肉の回復のほか、ストレス解消や睡眠の質の向上にも役立つと期待されています。ドーピング禁止薬物にも当たらない(アンチドーピング)ため、アスリートたちも試合後の疲労回復としてCBDを使用しています。現に、プロアスリートでCBD使用を公言している人も何人かいます。東京オリンピックは、CBD使用が認められた最初の夏季オリンピック大会となりました。(2018年にドーピングリストからCBDが除外されました)
THC 規制対象 (テトラヒドロカンナビノール) | CBD (カンナビジオール) |
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脳に作用する有害な成分を含む ⇒幻覚作用や記憶への影響 学力低下などを及ぼす | 精神作用がなく規制対象ではない ⇒食品や化粧品の成分として 百貨店などで一般的に流通 |
CBDは、薬でも抑えれない難治性のてんかんを抑える可能性があるとして研究されています。(既に薬として利用を始めている国もあります)
また、不眠症や片頭痛、うつ病、皮膚病、肌荒れにも対応できるのではないかと期待されています。
一方で、規制対象の「THC」には陶酔作用や依存性があるため、日本だけでなく多くの国が禁止しています。中には死刑を科す国もあります。(※大麻を全面解禁しているオランダ、カナダなど一部の国ではTHCも使用可能ですが…)
「HHCH」はTHC(違法成分)に似せて作られた合成化合物です!
いわゆる“大麻グミ”から検出された大麻由来の成分に似た合成化合物「HHCH」について、厚生労働省は本日2023年11月22日付で医薬品医療機器法上の「指定薬物」に追加しました。HHCHは、12月2日(10日後)から販売や所持・使用が禁止されます。
(今持っている人たちは処分しないと罰せられます。グミ以外にもチョコレートやクッキーが「食べる大麻」として出回っているそうですが、これらも当然規制の対象です)
HHCHとは
HHCHは、大麻の有害成分「THC」に似せて人工的に作られた合成化合物です。
HHCHはTHCと化学式が似ているため、THCと同じような幻覚作用を作り出すことができます。2023年11月21日以前は医薬品医療機器法上の指定薬物には当たらなかったため、これまでは「規制対象外」とされていた成分だったのです。2023年に入ってからHHCH入りの大麻グミを食べて救急搬送される人の報道が増えました。(ニュースなどでは「酒を一気に飲んだような感覚になる」と紹介されていました)
HHCHの危険性
HHCHは、THCとは構造を若干変えて作られていますが、THCの毒性を取り除くためではなく、単に規制をすり抜けるために構造を変形させただけのものです。日本ではTHCを使用することはできないため「THCに似たものは作れないか??」と試行錯誤して生まれたのがHHCHなのです。HHCHは、素性が調べ尽くされているTHCよりももっと危険な可能性もあると指摘されています。脳の破壊だけではなく、精神疾患のリスクを高めるのではないかと指摘されています。

HHCHが生まれた背景は、まさに「脱法ドラッグ」と同じ構造です。脱法ドラッグは、違法業者が、ドラッグ(違法薬物)に近いものを合成して作って「同じ効果を得られるけど禁止薬物ではないから大丈夫」と売ることで、繁華街などで流通した結果、多くの健康被害を生み出し、国が規制に乗り出した流れでした。今回のHHCHもまったく同じ手口で「規制をすり抜ける」ために構造を変えて合成したものです。
今後、HHCHが入ってる「大麻グミ」は所持や使用が禁止されますので、HHCH入りの大麻グミを売ったり買ったり食べたりすることは「違法」です。
HHCHを規制してもイタチごっこ
「HHCH」が指定薬物に認定されたとしても、別の「合成カンナビノイド」(THCに似せて作った合成化合物)が世に出回る可能性が十分考えられます。というのも、HHCHが生まれたのは、2023年7月25日に「THCH」が規制対象になったからだと言われているのですが、さらに遡っていくと、THCHが生まれたのも、2022年3月7日に「HHC」が、2023年3月10日に「THCO」と「HHCO」が規制対象の指定薬物になったから、で、「危険ドラッグ」として規制が強化される度に、化学構造の一部を変えただけの似た成分が次々と生み出されています。
規制をしても、成分の構造を一部変えた合成化合物の販売や流通が次々と出て「イタチごっこ」のように後を絶たない状況となっています。先手を打った包括的な禁止措置(たとえばTHCと類似構造を持ち危険性が予見されるもの全てを規制するなど)の法整備をしないと防ぎきれないのかもしれません。
ニュースを見ていて知りましたが、鳥取県では既に2014年から「県薬物の濫用の防止に関する条例」を設けていて、興奮や幻覚作用のある危険薬物について、成分を特定せずに一括規制できるようにしているそうです。条例では製造や販売、購入、所持、譲渡、使用などを禁止していて、県外からのインターネット販売にも適用されます。(このシステム良い!)
CBDとHHCHって何が違うの?
明確な違いは「天然か合成か」「有害性が認められているかどうか」にあります。
CBD | 麻からとれる天然成分。 医療や健康増進目的で使われることが多い。 重大な副作用は報告されていない。 ほとんどの先進国(日本を含む)にて合法。 |
HHCH | 違法成分(THC)に近づけて科学的人工的に合成された化合物。 薬物の代わりとして幻覚作用や多幸感を楽しむ目的で使われることが多い。 中毒症状がある。 2023年11月22日付で「指定薬物」に認定。 |
麻には100種類近い成分がありますが、大麻の代表的な成分は「CBD」と「THC」1。違法成分(THC)を除去していれば国内での使用も問題ありません。
※「HHCH」は違法成分(THC)に似せて作られた合成化合物です⇒今後は規制の対象です。
簡単にいうと、CBDは危険性が報告されていない(安全性を信じて医療用大麻としても゙使われている)から規制対象ではないけれど、HHCHはあきらかに大麻の有害成分(人体に悪影響を及ぼす危険な成分)であるTHCに似せて作られているので規制の対象として追加されたということです。
厚生労働省 地方厚生局 麻薬取締部も言っています。【大麻草の成熟した茎や種子のみから抽出・製造されたCBD(カンナビジオール)を含有する製品については、大麻取締法上の「大麻」に該当しませんが、当該製品を輸入する前に、麻薬取締部においてその該否を確認しております】と。
もっと言うと、CBDは大麻草由来ですが、日本国内で販売されているCBDは、厚生労働省・検疫所に成分分析表・製造工程表などを提出し、成熟した茎や種子を原料としていることのチェックを受けて証明済みのため、法律に反する問題がありません。合法です。
日本でも認知されつつあるCBD
CBDは日本では認知度がまだそんなに高くないため、製品流通量も少ないですが、今後認知度が高まっていくことが予想されます。ブームが起こるかもしれません。健康志向の強い方や不調を抱えている方などの中にはCBDを愛用している肩もいますし、CBDカフェなどのCBD専門店も出来始めています。
ワンインチの「CBDグミ」
冒頭で「とばっちり風評被害を受けて可哀そう」と紹介した会社のCBDグミをご紹介しておきます。
CBD特有の苦みを、(甘味や強い香りなどの他の要素で上書きするのではなく)苦みを相殺する組み合わ せを探して味作りを行うことで、通常のグミと同等のおいしさを実現しています。違法成分「THC」が含まれていないことを検査機関にて確認済みです。
- 1粒に15mgのCBDを配合、1袋28粒入り
- 【味】グレープ味
- 【原材料】砂糖(タイ製造)、水飴、濃縮ぶどう果汁、ゼラチン、カンナビジオール/甘味料(ソルビトール、ステビア、アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、スクラロース)、酸味料、ゲル化剤(ペクチン)、香料、光沢剤、着色料(アントシアニン)、※一部にりんご・ゼラチンを含む
CBDに関するよくある質問Q&A
CBDは違法になる?
CBDには違法性はありません。CBDは、大麻草の成熟した茎および種子から採取された成分です。いわゆる違法大麻と違って、精神作用(ハイになったり酩酊状態を引き起こす働き)や依存性がないと言われています。
違法になるのは、大麻から取れる成分のうち「THC」という成分です。「THC」に似せて作られた合成化合物「HHCH」も2023年11月22日付で規制対象に追加されました。
CBDは大麻成分ですか?
CBDは、大麻草に含まれる成分の1つです。
CBDと大麻の違いは何ですか?
CBDは、大麻草の種子や茎から抽出された成分です。日本国内で許可を得て販売されているCBD製品は大麻の成分のうち「THC」(違法成分)を取り除いてあります。
CBDは何に効くの?
疲労回復や睡眠導入、ストレス解消などに役立つと期待されています。プロアスリートたちも試合後の疲労回復などのためにCBDを使用しています。
日本の法律では、薬機法により、「医薬品」「医薬部外品」でないものについて直接的な効果効能を謳うことができませんので、詳細を知りたい方は、ご自身で調べるか、専門機関に直接お問い合わせください。
CBDには依存性はありますか?
CBDに依存性はなく、慢性的な中毒性がないため、危険性が低いと言われています。
妊娠中にCBDグミは使えますか?
妊娠中・授乳中の方はCBDグミをお召し上がりにならないでください。また、現在治療中の病気がある方(通院中やお薬を服用中の方)はご使用前に医師や薬剤師にご相談ください。
まとめ
CBDは大麻草から抽出される成分であるため、心配する方や抵抗感を持つ方も多い(「ダメ。ゼッタイ」のイメージを持つ人もいる)かと思いますが、国内に流通しているCBD製品に違法性はありません。
疲労回復や睡眠導入、ストレス解消など、CBDに期待されている作用は様々です。日常の不調に対して手軽に天然成分のCBDで改善できれば、鎮痛剤や睡眠薬などを飲む回数が減らせ、身体への負担軽減につながるのではないかと期待されています。スポーツの疲労軽減目的でCBD入りのプロテインがあったり、美容目的で顔や髪に使えるように加工されたタイプのCBD製品(化粧品・シャンプー・ヘアケア用品など)もあります。

医療用大麻の成分の一部が新型コロナウイルス感染症の対策に有効に作用するのではないかという研究が進んでおり、ファイザー社(新型コロナウイルスのワクチンメーカー)もカンナビノイド系治療薬を開発研究しているアリーナ・ファーマシューティカルズ社を買収しました。
ちなみに、「規制されていない」「違法ではない」ものには、「危険性が確認されていないもの(絶対安全とは言い切れないけど今のところ危険ではない+合法)」「危険だけど法をすり抜けたもの(脱法)」の2種類があるということを理解せねばいけません。
現在のところ、CBDについては、危険性が報告されていません。むしろ、ドーピングリストからも除外されていて、日本国内でもサプリメントなどとして流通し、利用が広がっています。
大切なのでもう一度言います。CBDはHHCHとは別物です!
参考文献
本記事を作成するために、報道ステーションでの放送内容の他、下記を参考にさせていただきました。
- 厚生労働省「今、大麻が危ない!」
- 東京都保健医療局「みんなで知ろう危険薬物・違法ドラッグ」
- 神奈川県衛生研究所「大麻の基本的な知識と大麻由来製品の注意点について」
- 警察庁「大麻対策のためのポータルサイト」
- 厚生労働省 地方厚生局 麻薬取締部「CBD製品の大麻非該当性の確認について」
- 日本臨床カンナビノイド学会
- 三重大学「現状では国産大麻で神事すらできない」三重大学で立ち上がった「大麻の学術研究組織」の挑戦
- 大麻の主な成分は「THC」と「CBD」の他に「CBN」もありますが、本投稿では触れません。 ↩︎