めちゃくちゃ意外で、とても驚いたこと。「クセ毛よりも直毛の方がカットの技術力が必要」だということ。クセが強すぎる剛毛も扱いにくいそうですが、ストレートすぎる直毛はそれ以上に扱いにくいのだそうです。
私はカットモデルをお願いされることが多いのですが、あまりにも高頻度なため、ある日「なぜ私に声をかけたのか?」を問いかけたところ、「練習したい髪質だったから」と答えが返ってきました。
【私の髪質】細い・量が多い・直毛
美容師さんによって得意不得意はあると思うのですが、その方がどうして私の髪で練習したいと思ったのか詳しく聞いてみたので、まとめます。
ストレートすぎる直毛は扱いにくい
カットモデルを引き受けたとき、新人美容師さんから聞きました。
「ブローに関しては1番扱いやすいけど、他の施術だと直毛の扱いには技術力が必要」と。
直毛を狙い通りにカットするのは難しい
「クセが強すぎる剛毛のカットは難しいけれど、それ以上に直毛は難しい」
特にショートカットやボブカットにする場合に難しさを感じるそうです。
苦労するので「ある意味直毛の方が”クセ毛”」「直毛料金を別途とりたいくらい」と新人さんが笑っていました。
直毛だとパーマが掛かりにくい・取れやすい
直毛の場合、「真っ直ぐに戻ろうとする力が強く働くため、パーマを掛けてもヘアスタイルを維持しにくい」そうです。
加えて、私の場合は髪が細くて柔らかい猫っ毛なので、更に難易度が上がると教えてもらいました。
直毛の特徴
直毛の特徴を、クセ毛と比較しながら書いてみます。もちろん良いことばかりではありません。
毛根が真っ直ぐで上を向いている
直毛の人とクセ毛の人とでは毛根の形に差があります。
直毛の人の毛根は、歪みがなく真っ直ぐな形状で上を向いているのだそうです。
毛根が真っ直ぐ | そのまま真っ直ぐに成長して直毛になりやすい |
毛根がいびつ | 真っ直ぐに生えることが出来ない いびつなまま髪の毛が成長する 天然のパーマ状態⇒くせ毛になりやすい |
毛髪の断面が丸い形をしている
毛根の形に差があるため、直毛の人とクセ毛の人とでは生えてきた毛髪の断面にも違いが出ます。
直毛は、毛根から髪が真っ直ぐ生えてくるため断面もほぼ円形です。
一方で、クセ毛は真っ直ぐに生えてこれないため、断面はいびつな楕円形をしています。
毛髪内部の成分バランスに偏りがない
直毛の場合は、真っ直ぐに伸びていくため、髪の中の水分やタンパク質のバランスに偏りが生まれにくいです。
一方で、クセ毛は、生えてきた髪が曲がっているため毛髪内部の成分に偏りが出てしまいがちです。
その結果、クセ毛と直毛では、髪を濡らした時の水分の含み方に大きな違いが生まれます。
クセ毛では、髪内部の成分にバラつきがあるため濡れた時に水分を均一に含むことができません。⇒空気中の水分量に影響を受けやすく、乾燥・うねり・広がりに繋がります。
他方、直毛の場合は、髪内部の成分も水分の含み方もバラつきがなく、キューティクルの層も隙間なく整っています。(キューティクルに隙間がないのでパーマの薬剤が馴染みにくい⇒パーマが掛かりにくいのです…)
全くクセのない直毛が高難易度な理由
以下は、新人美容師さんから聞いた「直毛が扱いにくいと思う根拠」です。
切り口がそのまま仕上がりに影響する=誤魔化しがきかない
直毛だと、施したことがそのまま毛先に出るので、カット技術の良し悪しの誤魔化しが全くきかないそうです。
仮に、クセ毛だった場合、失敗しても元からクセがあるため、紛れてしまえばよく分からなくなります。しかし、直毛の場合、失敗した箇所が目立つため、すぐ分かります。
動きが出ない
直毛は、髪と髪の間に空気を入れることができないため、ふわっとしたヘアスタイルや動きのついたヘアスタイルを維持することがとても難しいそうです。
なぜならば、直毛の場合、髪が重なり合ったときに髪と髪との間に隙間が全く生まれないため、せっかく動きをつけても元に戻りやすいからです。
適度に動く隙間を与えてあげれば良いのですが、そのためには技術を磨く必要があるのだそうです。
そういえば「シャギーカットを練習したい」と頼まれたことがあるのですが、とても苦戦なさっていました。シャギーカットとは毛先を細かく削ぐカットのことで、シャギーカットにして毛先を内巻きにすると顔の輪郭をカバーできるため小顔効果が期待できるのですが、すとーんと落ちちゃって全然フェイスラインにかからなかったんですよね・・・
ボリュームが出ない(ぺったんこになりやすい)
繰り返しになりますが、直毛の場合、髪と髪の間に隙間がないため、ふわっとしたヘアスタイルを実現するためには技術力が必要です。
技術が不適切であると、髪型が平坦でつまらなく仕上がる可能性があります。
たとえば、丸みが魅力的なボブスタイルも、直毛すぎるとカッパやスフィンクスのような仕上がりになってしまいます。
ボリューム不足だと、実年齢よりも老けて見えがちなので、女性にとっては死活問題です。
重たく硬い印象になりがち
直毛の場合、髪質の特性上どうしても直線的なシルエットに寄りがちなので、お硬い印象に仕上がる傾向があります。
特に髪色のトーンが暗くて長さがあると、重たい雰囲気になってしまい、まるで日本人形のようになってしまいます。
短くしすぎると立ってしまう
真っ直ぐゆえに、短くしすぎると立ってしまいます。特に男性で直毛の方を切るときに発生しがちなケースですが、ヘアスタイルによっては女性でも遭遇するトラブルです。
頭頂部や髪の表面からアホ毛や触覚がピンピン立ち上がっていると、いくら念入りにスタイリングしてもボサボサに見えてしまうので、オシャレが台無しです。
目立たなくするには、ワックスやヘアスプレーなどで抑えればいいのですが、直毛の場合は「ボリューム不足」の問題もあるので、加減が難しいようです。
カットモデルとしてレイヤーカットの練習にお付き合いしたことがあるのですが、こちらも苦戦されていたようでした。レイヤーカットは、トップが短く毛先に向かって徐々に長くなるスタイルなのですが、短くした毛がピョコンピョコンと飛び出してたんです。私の髪質が「直毛」でかつ「細い」ことにも理由があったのかもしれません。重さがなくて寝かせにくそう。。。
毛束感や無造作感を出すのが難しい
毛束感のあるスタイルは、立体感があっておしゃれなので人気が高いのですが、直毛だと難易度が上がるそうです。直毛は、そもそも立体感との共存が難しいです。
髪を湿った状態にして、直毛用のムースをつけてから、乾かして、ハードワックスで整えた状態でヘアスプレーで固定するのだそうですが、美容師さんが苦戦しているのを見て「これ、自分じゃ絶対再現できない…」って思いました。
翌日以降、自分でスタイリングすると上手く再現できない
せっかくボリュームも動きもついて良い感じに仕上げてもらっても、自分で再現しにくいのが直毛のデメリット。
クセ毛があれば、カットさえ大きな失敗をしなければ、クセを利用して動きを出しやすいんですけどね・・・
ヘアカットの失敗に関するQ&A
直毛の欠点は何ですか?
直毛の方は、髪が真っ直ぐという性質があるため、ボリューム感や毛束感・無造作感を出すのが難しい特性があります。 重たく硬い印象になりがちで、技術力が不十分だとヘアカットに失敗しがちです。
カットに失敗したらどうしたらいいですか?
髪型に不満がある場合は、その旨を美容師さんに伝えて修正してもらいましょう。切りすぎた髪を元に戻すことはできませんが、整えてもらうことは出来ます。担当者の経験が浅くて技術力に問題がある場合は、他のベテラン美容師にお願いするか、別の美容院で相談してみましょう。
切りすぎた髪を早く伸ばしたい場合は、専用のシャンプーやトリートメントを使うのもアリです。
美容院でのお直しはいつまでできますか?
美容院によって異なります。お直しの保証期間はお店によって異なり、3日~10日程度の猶予を設けることが多いです。保証期間内であれば無料でお直しを受け付けてくれますが、期間を過ぎると有料になります。
美容室で切り直しを頼みたいときはどう言えばいいですか?
気になる箇所を挙げて「思ってた仕上がりと違うのでやり直して欲しい」と正直に伝えましょう。具体的には「もう少し短く切って欲しい」「もう少し軽くして欲しい」などのセリフがあると思います。
まとめ
以上、クセ毛よりも直毛の方が難易度が高い理由について書いてきました。
直毛は真っ直ぐでクセがないから扱いやすいのかと思いきや、「真っ直ぐにしかならない」というクセのせいで成長途中の新人さんたちを泣かせていることがよく分かりました。
- 切り口がそのまま仕上がりに影響する=誤魔化しがきかない
- 動きが出ない
- ボリュームが出ない(ぺったんこになりやすい)
- 重たく硬い印象になりがち
- 短くしすぎると立ってしまう
- 毛束感を出すのが難しい
- 翌日以降、自分でスタイリングすると上手く再現できない
以上は、私がカットモデルとして協力した新人美容師さんから聞いたものなので、他の美容師さんに聞くとまた違ったお話も出てくるかもしれません。