皆さんはストレスホルモン量で慢性的ストレスの大きさを数値化できることをご存知でしょうか?
「コルチゾール」の量でストレスの大きさを数値化するのですが、「髪の毛からも検査が出来る」「検査キットを使えば病院に行かなくても簡単に結果を知ることが出来る」と聞いたので、まとめてみます。
実は私も病院で受けた血液検査がきっかけで「コルチゾールの量が多すぎる」と医師に指摘されたことから精神科/心療内科での治療が始まりました。(※薬物治療のほか運動療法や認知行動療法などを経て、今は症状が比較的落ち着いた状態をキープできています)
学校や会社などでストレスチェックシートを受けたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、ストレスチェックシートは主観的な側面が強いため、コルチゾールの測定検査の方が客観的にストレスチェックが出来ると言えます。それでは詳しく見ていきましょう!
ストレスとは
ストレスの定義
ストレスとは、外部からの刺激などによって体に生じる反応です。
外的刺激(ストレッサー)とそれに対する心身の反応(ストレス反応)とを合わせて「ストレス」と呼ぶことが多いです。
ちなみに、ストレスという用語は、もともと物理学の分野で使われていた言葉です。物体が、外側からかけられた圧力によって歪みが生じた状態のことを「ストレス」と呼んでいました。分かりやすくストレスを風船で例えてみると、風船を指で押さえる力のことを「ストレッサー」と言い、ストレッサーによって風船が歪んだ状態のことを「ストレス反応」と言います。
ストレスの種類
ストレスは、ストレッサーの種類により分類されています。
ストレッサーの種類 | 具体例 |
---|---|
物理的ストレッサー | 騒音、混雑、暑さ、寒さなど |
化学的ストレッサー | 大気汚染、薬物など |
肉体的ストレッサー | 病気、睡眠不足、長時間労働、過度な運動、ダイエットなど |
心理・社会的ストレッサー | 人間関係、親しい人の死、離婚、結婚、転職、昇進、転居など |
意外に思うかもしれませんが、ネガティブな悪い出来事だけでなく、結婚などのポジティブで喜ばしい出来事もストレッサー(ストレスの原因)になりえます。楽しいことや嬉しいことなど「一見ストレスとは無関係に見えるもの」もストレスの引き金のひとつです。
つまり、ストレスは、誰にでも、身近な原因で起こりうるということです。
ストレスに対する反応
ストレス反応が身体面に出た場合は心身症など、心理面に出た場合は神経症など、行動面に出た場合は、不登校や出社拒否、引きこもり、自傷/自殺行動などに繋がります。
慢性的なストレスは自覚しにくく、蓄積すると、疲労感から抜け出せなくなったり、イライラしやすくなったりするだけでなく、胃腸炎や難聴など身体症状の発生原因となったり、うつ状態などの精神症状の発生原因になったりと、さまざまな病気を引き起こす可能性があります。
ストレスは100%悪者だとは言い切れない
「ストレス」という言葉を聞いて、マイナスな表現として捉える人が多いかと思いますが、実はストレスにも良い面があります。適度なストレスは生命維持にプラスに働くとも言われてます。
たとえば「歩いていたら熊と遭遇した」など身の危険を感じるような状況に陥ったら、あなたはどうしますか?一目散に退散するか、戦って倒すことを瞬時に頭の中でシュミレーションすることでしょう。(死んだふりをしてやり過ごす人もいるかもしれませんが…)
危険な状況に直面すると、勿論精神的な変化が生じますが、身体的な変化もさまざまな身体的変化も起こります。アドレナリンとコルチゾールも分泌されます。そして、逃げたり戦うことにあまり必要ではない副交感神経(消化や排泄活動)を抑えて、交感神経(闘争・逃避反応)を活発にして、逃げたり戦うことに専念しようとします。具体的には、血流量を増やして全身の筋肉に酸素と栄養素を素早く供給したり、万が一の怪我に備えて出血を少なくするために血液の凝固を早めたりするための準備をします。
ストレス反応があるから、危機的状況を乗り越えられるのです。
納期の直前になって急に良いアイデアが降ってきたり、普段よりも集中力が増してサクサク仕事を進められたりするのもストレス反応のおかげです。
その意味では、ストレスは決して悪いものではないのですが、問題は、血圧の上昇や筋緊張などの変化が元のレベルまで戻ることなく慢性化してしまったときです。
極度の緊張状態が続けば、当然、肉体は疲労してしまいます。加えて、心臓や全身の血管を酷使することになり、循環器系の疾患に繋がる危険もあります。
ストレスに晒されるとストレスに対抗してコルチゾールが分泌される
人はストレスを感じるとコルチゾールを分泌する
コルチゾールとは副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンで、ストレスに対抗するためのホルモンのひとつです。「ストレス応答ホルモン」などと言われたりします。
コルチゾールの役割
コルチゾールは生命維持に必須のホルモンです。
役割 | 説明 |
---|---|
抗ストレス作用 | 交感神経を刺激して体の緊張状態を保ちます。心拍(脈拍)や血圧を上昇させて脳を活性化させます。 |
糖新生 | 筋肉中のタンパク質をアミノ酸に分解し、肝臓でブドウ糖に合成します。血糖値を上昇させます。 |
脂肪組織の脂質代謝 | 脂肪を分解します。エネルギー不足にならないようにエネルギー供給を促します。 |
抗炎症作用・免疫抑制作用 | (体内に入った細菌やウイルスを排除するために免疫機能が働くと熱や腫れなどの炎症を引き起こしますが、)コルチゾールを分泌して、炎症や免疫機能を抑えます。 |
コルチゾールの分泌量
コルチゾールの分泌量は、一般的には、早朝に血中濃度が高くなり、夕方には血中濃度が低くなるという特徴を持ちます。(健康な人でも、コルチゾールは、朝に濃度が高くなり夜に向けて濃度が下がるという日内変動があります)
⇒朝、十分なコルチゾールを放出することで、朝すっきりと目覚めて活力的に行動を開始することができるのです。そして、時間の経過とともにコルチゾールが徐々に減少していくことで、就寝時に安らかに眠りにつくことができます。
また、ストレスを察知した場合、一時的なストレスに対応するために、正常な量のコルチゾールが分泌されます。
しかしながら、大きすぎるストレスや長期間続くストレスを抱え込んでしまうと、コルチゾールが過剰に分泌されたり、副腎が疲れて必要なタイミングで分泌ができなくなったりして、やがてストレスに対処できなくなってしまいます。
慢性的にコルチゾールの値が高い状態が続くと、うつ病などの精神疾患、生活習慣病などのストレス関連疾患の一因となりえます。
コルチゾール検査でストレスを数値化する
コルチゾール検査とは
コルチゾール検査とは、コルチゾールの濃度を測定することでストレスの分析を行う検査です。
体液(血液や尿、汗、唾液など)や体細胞(髪の毛や爪など)に含まれるコルチゾールの量を調べます。
コルチゾールの検査の方法
検査の方法 | 説明 |
---|---|
血液検査 | 採血検査です |
唾液検査 | 専用のキットで口内の唾液を採取します |
毛髪検査 | 髪の毛を採取して調べます |
専門外来を受診することに抵抗がある方や、採血による痛みが苦手な方は、唾液検査や毛髪検査がオススメです。
短時間で検体採取を済ませたい方は、毛髪検査が最もオススメです。なぜなら、前述の通り、コルチゾールの分泌量には日動変動があるため、血液や唾液でコルチゾール量を測定しようとすると、一日のうちに何回も繰り返し血液や唾液を採らなければならないからです。毛髪検査なら、長期的な変動を見るのに適しています。(※人の髪は1ヵ月に約1センチ伸びるので、たとえば、根元から3センチあれば3ヶ月分遡って変化を確かめることが出来ます)
コルチゾールの検査キットはインターネットで簡単に入手できる
唾液または髪の毛を採取して検査キットを郵送で送り返すだけなので、わざわざ病院に赴く必要もなく、簡単に検査を受けられます。
コルチゾール唾液検査
コルチゾール毛髪検査
あすか製薬のコルチゾール毛髪検査キット
ら・べるびぃ予防医学研究所のコルチゾール毛髪検査キット
コルチゾール検査を試す価値がある人(一例)
- 慢性的に疲れている
- 眠れない (または眠っても疲れがとれない)
- 気力がない
- 集中力が続かない
- 以前興味を持っていたことに取り組んでも楽しいとは思わない
- 物忘れがひどい
- 決断できない
- 気分がいつまで経っても晴れない
- イライラが止まらない
- 食欲不振が続いている
- 性欲が急になくなった
- 過度に不安を感じるようになった
- 普段なら抑えられるはずの衝動(暴飲暴食、浪費、薬物乱用など)が我慢できない
ストレスの自覚があるならカウンセリングを受けるのもいいかも?
下記記事は薄毛などの容姿コンプレックスを持つ人に向けて書いた記事ですが、これからご紹介するオンラインカウンセリングはいずれも幅広い相談内容を取り扱っています。「仕事の悩み」や「家庭の悩み」「恋愛の悩み」「闘病の悩み」なども経験豊富な専門家に相談にのってもらえます。⇒診断書が必要な方は「かもみーる」で精神科医を選んでオンライン診察を受けると良いと思います。
まとめ
慢性的に長期間ストレスに晒されると、さまざまな不調の原因となりえます。
ストレスは「コルチゾール」の分泌量で数値化し客観的に視覚化することが出来ます。
短時間で検体採取を済ませたい方は、毛髪検査が最もオススメです。